「大人の遠足2019早春 福岡・あさくら」レポ

「大人の遠足2019早春 福岡・あさくら」レポ

2019.2.14 Thu

2月の薬膳食話スペシャル

「大人の遠足2019早春 福岡・あさくら」

食・酒・民藝にふれる旅

2019年2月10〜11日開催レポート

 前日東京・羽田は雪でした。明朝飛行機は飛ぶのだろうか、そんな不安を覚えながらの旅の準備が吹き飛ぶほど、当日の福岡は快晴の暖かな日よりでした。今回の旅のホストは、福岡県筑前町で農業を中心に商品開発、ワークショップ、民泊をしている「むぎわらFARM」の林亮輔さん。アトリエの薬膳ワークショップでは、筑前クロダマルをぽん菓子にした「黒ぽん」が人気でいつもお世話になっている林さんが空港まで迎えにきてくれました。福岡市内を抜けるとゆるやかな里の風景。オープンカーの幌を開けて旅のはじまりです。

 

 まずはランチ。うきは市の山の中にある古民家カフェ「Plantago(プランタゴ)」さんへ。こちらは、野菜料理研究家の奥様とご主人のキヨさんが営む野草ベーグルと摘み草料理のお店です。ユキノシタ、ヨモギ、ノビル、セリ、ハコベ、カラスノエンドウ、ノアザミ、クワ、流川れんこん、ビーツ、たまねぎ、にんじん、スイスチャード……。野草だけでなく地元の食材を使った素朴でやさしい料理。ていねいに暮らしているからこそ生まれるおいしさと食への愛情に癒されます。民藝の皿や器もセンスよく、キッチンの眺めも心地よく、学ぶことばかりでした。ごちそうさまでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 車で走って同じくうきは市にある「ぶどうのたね」さんへ。民藝の器や雑貨、和菓子、カフェなどが一角に建ち並ぶオシャレエリアです。福岡市内から1時間以内ということもあり思いがけなく観光客が多く、他県ナンバーも見かけました。うきは、朝倉、筑前など、農と食、自然派の人たちに最近注目の地域だそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 さらに麦畑の中を走って本日民泊させていただく「むぎわらFARM」さんのおうちと畑へ。こちらではニンジンの収穫と収穫したニンジンでのジャム作りを体験しました。この時期のニンジンは寒い時期を土中で過ごしたため糖分が高く、生で食べても本当に甘い。色もあざやかです。刻んで蒸し、ビートグラニュー糖と地元の柑橘「きず」の果汁を加えて煮詰めます。熱々のジャムを瓶詰めして出来上り。作りたてのニンジンジャムはあま酸っぱく濃厚でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

温泉に行って汗を流し、いよいよ大宴会「むぎわら蕎麦と水炊きの会」です。ランチをいただいたカフェのご夫妻、地元の未利用資源を生かした商品開発をしている「職彩工房たくみ農産加工所」さんファミリー、道の駅「みなみの里」のみおさん、そして林さんファミリーと大人も子どもも集まりました。まずは林さんが水炊きの鍋奉行。鶏のスープをいただき、鶏肉を食べてから、「むぎわらFARM」の畑で採れたキャベツとねぎ、春菊をいただきます。野菜の旨みが強く甘い。美味しくてたくさんおかわりしました。さらに、「むぎわらFARM」 で収穫した蕎麦の実から林さん自ら打ってくれた蕎麦もいただきました。

どれもおいしく、農と食にこだわる林さんの意志を感じる味わいでした。地元の麦焼酎の飲み比べ、「みなみの里」のあまおうを頬張る子どもたち、おいしいものを食べたり飲んだりしながら、さらに食の話をするぜいたくな宴会でした。みなさまごちそうさまでした。ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌朝は林さんの奥様で管理栄養士みほさんの朝食をいただきます。土鍋の黒ぽんごはん、黒大豆の味噌で作った味噌汁、手作りの梅干しや漬物など朝からしっかりおいしくいただきました。ゆっくりとした朝を過ごして出発。道の駅「みなみの里」で地元の小麦やきな粉などを購入し、朝倉の古都「秋月」へ。こちらでは、国産葛の製造についてお話を伺いました。10代目の高木久助さんが葛掘りに出かけているということで、おばあさまがお話くださいました。国産の本葛にこだわり、伝統的な製法を守ることの難しさ。はじめて見る葛根の大きいこと。そこから7%ほどしか本葛は採れないこと。お店でお抹茶といただいた葛餅の弾力と柔らかさ。漢方薬「葛根湯」で使われる生薬「葛根」の実際を見ることができ、よい体験ができました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ランチは秋月でピザカフェをしている「ピッツァなかむら」さんへ。自家製のチーズでピザを作っています。人気のキノコのピザと、干しえびと水菜のトマトソースピザをシェアしていただきました。塩味のきいたチーズとランチビールによく合いました。ごちそうさまでした。

 

 

 最後に朝倉の「えびす酒造」さんへ。こちらでは筑紫平野で採れた大麦、朝倉の水で仕込んだ麦焼酎を試飲販売しています。三年熟成、五年熟成、七年熟成。麦と米麹、麦と麦麹。熟成麦焼酎の味わいは、その熟成期間、原材料によりこんなにも豊かに幅を広げるのかと驚きました。なかなか麦焼酎を飲み比べる機会がなかったので、夢中に試飲してしまいました。(笑)

 

 今回の大人の遠足は、「むぎわらFARM」林さんから広がる食のつながりを堪能する旅となりました。三十代、四十代の世代が地元の素材と向き合い、安心安全はもちろんのこと、美味しくセンスよくカタチにしていることにとても刺激を受けました。昔から当たり前にある食材とどう向き合うのか、暮らしのスタイルを含めてどう提案していくのか。それは、あなたはどう生きたいのかと問いかけられているような気がしました。私にとって改めて自分の暮らしや生き方を顧みる旅になりました。ご協力いただいたみなさま、ありがとうございました。第2回も行えるよう頑張ります。(伊嶋まどか)

 

むぎわらFARM

https://www.mugiwarafarm.com

 

Plantago

https://www.facebook.com/1104Plantago/

 

みなみの里

http://chikuzen-minaminosato.jp

 

廣久葛本舗

http://www.kyusuke.co.jp/

 

えびす酒造

https://www.ranbiki.com